SIGMA 65mm F2 DG DN 実写レビュー

 

最近、α7RVを購入した。今まで使用していたSIGMA 24-70mm Art DG-DNも素晴らしいが、毎日持ち運ぶにはあまりにも大きくて重い。

よく撮るのは、ストリートスナップ。よく使うのはテレ幅70mm付近。持ち運びがしやすくて6100万画素にも耐えられるレンズがベスト。僕にとっての毎日持ち運ぶレンズにピッタリだったのが、SIGMA 65mm F2 DG DNだった。

作例を含めてこの毎日のお供のレンズを紹介していきたいと思う。

専門的なレビューはいくらでもある。実際に使用している感想と作例をお伝えしたい。


概要

SIGMA 65mm F2 DG DNは、SIGMAの小型軽量を重視するContemporaryラインの中でも、質感や操作感を重視するIシリーズに含まれるレンズだ。光学性能を限りなく追求したArtに比べコストパフォーマンスに優れた製品が多い。

この中でも、65mm F2 DG DNは中望遠寄り+明るいレンズということでなかなか買い手を選ぶようなスペックだ。標準域のズームレンズを持っている人でももの好きが選ぶレンズだろう。

実際に僕は35mm F2 DG DNと相当悩んだ。スタイルにもよるだろうが、もし標準域のレンズを持っていないなら35mmをお勧めする。


外観

重さは405g。Contemporaryの中では少々重い部類に入る。
僕の使用するα7RVと合わせると1128g。これだけ見ると重量級だが、重心がいいため手には心地よく収まる。
毎日僕のリュックにのしかかるこの重さは、24-70mm DG DN Artよりも全然軽い。

妻の持つα7Cと合わせるとこのようになる。コンパクトにまとめるならこのセットもとても良い。

質感の高さは言うまでもない。
削り出しの外装は工芸品のようで、スイッチも最低限のこのレンズは機能美を感じさせる。

レンズキャップはマグネットで着脱可能。マグネットの強さは絶妙で、普通に持ち運んでも落ちない上に外す時は軽く外れる。全てのレンズキャップがこうなればいいのにと思うほどだ。
外しやすいように窪みがついているところにも、高いユーザビリティとものづくりのこだわりを感じる。


マグネット式メタルキャップホルダー

僕はこのレンズと同時に、マグネット式メタルキャップホルダーを購入した。
このキャップホルダーはかなり簡単な作りだが、相当上質に作られている。

表面の加工は角度がつくと黒っぽく見え、機能的にはただの金属板のはずだが高級感が素晴らしい。
カラビナと接続している部分には革が使用されており、これも高級感を損なわない。愛着がわく製品となっている。

このホルダーを使用することでのメリットは、マグネットキャップ裏のフェルト素材が汚れないという点だ。このフェルト生地には思ったよりも汚れがつく。ポケットに入れるよりも、せっかくなら同時に購入することをおすすめしたい。

このレンズキャップホルダー、レンズキャップをつけるだけでなくレンズキャップの磁力を遮断・軽減してくれるらしい。取扱説明書にしか記載がない情報だった。
素材は何なんだろうか。磁石につく製品だが、雨にぬれて錆びないかが心配だ。


実写

このレンズを持ち出してからもう数週間。持って歩いた写真を見ていきたい。
(RAWで撮影、Lightroomで加工をしております。)

まずは、このレンズを使用してすぐに撮れたお気に入りの一枚。
年始早々の撮影だったが、あまりの解像感とヌケのよさに正月ボケが飛んでいった。
陽の光と澄んだ冬の空気感がしっかりと写し出されて、写真が上手くなった気になる。
橋のケーブルの隅々まで写し出されている点に、α7RVの6100万画素との相性の良さが伺えた。

僕はあまりカメラに詳しい方ではないが、このレンズのボケはあまりにも綺麗だと思う。F2という明るさはフォーカスされる部分がかなり小さいが、ボケによってフォーカス面がより際立って見える。この写真では花の中心にフォーカスされ、フォーカスから外れた花びらたちが優しくボケる。シャープネスに対して取り上げられがちなSonyとSIGMAという組み合わせだが、滑らかで柔らかいボケがそれを際立たせると教えてくれた一枚。

明るい単焦点レンズは、夜のストリートフォトにピッタリだ。自然と足が軽くなる。この一枚は、あまりにも寒い盛岡を撮ろうとした際もの。

明るいレンズをしっかりと絞って撮影した写真も。F22まで絞って光芒を撮影した。
光芒とゴーストは存在するものの、しっかりと木々のシルエットが解像されている。

このレンズを使用して感動した一番は、今まで何気なく撮影していた影をさらに美しく撮影できるようになったこと。

家に帰って現像している最中「ああ、影ってこんなに濃かったのか」や、「こんなに柔らかい影があったのか」という感想を抱くようになった。見えなかったものが見えるようになるのは、新しいレンズを持って歩いてみた時が一番大きい。この写真は、とても柔らかい影。

最後に、写真といえばの東京国際フォーラムでの2枚を。1枚目はパキッと絞ったお決まりの写真。さすがの解像感は、しっかりと6100万画素を有効活用してくれている。

2枚目はこれもお気に入りの写真だ。シルエットと、解像感と、影がしっかり収まっている。


標準ズームを持つ人が多い中、改めて購入する人も少ない65mmという焦点距離のレンズ。しかし、このレンズにはそれ相応の良さがあると思う。特に僕のような大三元標準ズームを持っている人間でも、標準ズームでは味わえない感動を得ることができた。

個人的にはこのレンズを、ぜひ一度触って、撮影して欲しい。ビルドクオリティ、使い勝手、撮影して味わうことができる圧倒的な解像感と空気感は、カメラバッグに加えたくなるに違いない。