ちょっとしたお出かけに迷いなく持っていける。サコッシュ以上リュック未満。
カメラバッグ業界だとリュックやショルダーバッグが定番だが、数年前から販売されている「Peakdesign Sling」をきっかけにカメラ業界ではスリングバッグ戦国時代が幕を開けた。
このスリングバッグ戦国時代に、Kickstarterで目標の3000%を達成して颯爽とあらわれたのが「WANDRD ROAM Sling(ワンダード ロームスリング)」だ。
WANDRDはPeakdesignとしのぎを削る、Youtuber御用達のおしゃれカメラバッグメーカー。
見た目も機能もしっかりと詰め込まれていて、生涯保証付きというところまでPeakdeisgnと一緒。最近では製品のアップデートも激しく、最も勢いのあるカメラアクセサリーメーカーの一つと言えるだろう。
そんな、WANDRDから出たスリングバッグを今回は紹介していきたい。
僕が購入したモデルは6Lのモデルだ。製品の紹介だけでなく使ってみた感想や、スリングバッグで話題を集めたPeakDesignとの比較も行なっていく。
スリングバッグなのにPCが持ち運べる
この製品の最も大きい特徴は「PCも運べるスリングバッグ」という点だ。
カメラマンにとってはPCやiPadはある意味カメラと同じくらい重要だ。SDカードのデータを移したり、現像したり、動画を編集したり。全ての活動はPCやタブレットと共にある。
それなのに、PCが運べるスリングバックは今までほとんどなかった。10LもあるPeakdeisngのスリングバックでさえ、13インチのMacbookは窮屈すぎて実用に耐えない。
そこで登場したのがROAM Slingだ。このスリングバッグは、6Lと9Lの二つのモデルでラップトップを持ち運ぶことができる。16インチまで対応可能。スリングバッグにPCが刺さっている見た目は好みが分かれそうだが、革新的なバッグだ。
高級感と実用性を感じる質感
まずこの製品で1番に伝えたいことは、質感がとても高いということ。
機能性を重視したリュック・バッグのような製品で特筆して質感が高いことはあまりない。最近だと防水性と耐摩耗性を優先したコーデュラナイロンのようなものがほとんどで、「ああこのパターンか」という気持ちになってしまう。
しかし、ROAM Slingは違った。製品外装の主な素材は「ターポリン」という防水シート。防水シートゆえに高い防水性と耐摩耗性をもつ。突然の雨にも全然耐えてくれるだろう。マットな質感は、実用性に加えて高級感を与えている。
防水性能をしっかりと維持するために各所に使用されているのはYKKの防水ジッパー。定番だが防水に関しては間違いない。底面には1680D(デニール)のバリスティックナイロンが。素材にこだわって作られていることがわかる。
各所に使われている素材はとても機能性・見た目共に申し分ないものが使われている。一方でこのようないい素材は加工が難しいはずだが、非常に高いレベルで縫製されていることを評価をしたい。
もちろんラップトップケースにおいても同じくターポリン・YKKのファスナーが使用されており、高い品質の製品だ。持ち運びにおいては安心感があるだろう。
こんなことになっても大丈夫らしい。
スリングバッグとは思えないほどの拡張性
実用的な機能として、この製品は三脚や水筒を外付けすることができる。
バックパックであれば左右にポケットがついていることも多いが、ポケットをつけるのが難しいスリングバッグには珍しい機能だ。
特にペットボトルを外付けできる点は嬉しい。スリングバッグだとスペースがないことや、中に入れると結露水がカメラに着くのかと心配になって入れられないことがある。
そういった時に水筒やペットボトルを外付けすると、結露水を気にすることなく持ち運びが可能だ。折り畳み傘も同様に適している。とてもユーザーライクな機能だ。
メインの収納は厳選が必要
メインの収納容量は3,6,9Lの3種類。今回僕が購入したものは6L。
正直な感想としては、6Lは思ったよりも小さい。スリングバッグに容量を強くは求めないが、ミラーレスの大口径レンズを2本以上使う場合は9L以上がいいだろう。
6Lはα6600とSIGMA 24-70 Art DG DNフード付きですっかり埋まってしまった。
3Lにもなると大口径レンズは入れられないと思う。個人的には使いやすさを重視してほとんどの人に6L以上をおすすめしたい。
レンズを多く持っている人であれば、SIGMA Iシリーズのような単焦点レンズ2本とミラーレスのボディ、そしてPCを持ち運ぶことができる。街中のスナップやちょっとした取材にはかなり使いやすい容量だろう。
本体に付属しているディバイダーは2枚。これ以上はなかなか必要ないと思うが、形が特殊なため汎用的なディバイダーは使用できない。
厚みは保護力に信頼感のある1.2cm(相当分厚い)。単焦点レンズをそのまま入れても問題ないと思う。カバン自体がくしゃっと潰れないための骨組みとしても頼れる丈夫さも持ち合わせている。
PeakDesign Everyday Slingと比べて
両方ともを持っている僕としては、やらずにはいられなかった。ROAM SlingとPeak Design Slingの比較。
結論から伝えるとWANDRD ROAM Slingに軍配が上がる。さすがは後発の製品といったところか。その理由を挙げていこう。
拡張性による実容量の違い
まずは実容量だ。僕が持っている二つのスリングバッグは6Lと10Lで、倍ぐらいの差がある。
しかし、入れる内容によってはこの容量の差をそこまで感じない場合がある。
ROAM Slingは外に三脚と水筒・ペットボトルを入れることができる。一方でPeakDesignでは外付けする際は(無理しない場合)三脚しか対応できない。
水筒をバッグ内部に入れるとなると案外場所をとってしまう。もし同じサイズ感の製品同士で比較した場合は、ROAM Slingはより多く収納することができる。
細かいポケットの使いやすさ
これに関しては大きく差がない。好みによって優劣がつくと思う。バッテリーの入れやすさでいうとPeakdesignが優秀だが、SDカードで考えるとROAM Slingが優秀な部分がある。
マチの大きさはそこまで差がない。Peakdesignのすごくよく伸びるポケット素材が好きな人は、PeakDesignを評価するだろう。
個人的にはROAM Sling内部にモバイルバッテリーにピッタリのポケットがあることを評価したい。ポケット部分にとってのような部分がついていて開きやすいところも、設計した人の気遣いを感じる。
一日背負った時の疲れやすさ
これに関しては圧倒的にROAM Slingがいい。断言できる。
PeakDesignは背中の振れる部分に至るまで外表面がほぼ全て同じ素材で作られているが、ROAM Slingは人に触れる部分に分厚いクッション材を採用している。
メッシュ素材のため夏場の蒸れも防止することができる。実際に使ってみた上で、PeakDesignよりも快適だったといえる。
細かい部分に気が利いているのはWANDRDか
二つのスリングバッグを比較してみて、個人的にはWANDRDがより優秀だと感じた。
特に使ってみて感じるのが、細かな気遣いの違いだ。使ってみて初めて感じるような「ここにこれがあるの嬉しいな」というような細かいポイントが多数ある。
紹介していないところで言うと、ひとつは取っ手の数。Peak Designには目立った取手がついていないが、WANDRD ROAM Slingには大きめの取手が3つもついている。カフェでかけるときや、体の後ろから回してくる時など使用頻度は高い。
カラビナをつけられるポイントも数多い。こういった気遣いが、一度使ったら他のスリングバッグに戻れないような魅力となっている。
とりあえずこれ持っていけば間違いない、ちょうどいいバッグ。
ROAM Slingを使ってみて思ったのは、カメラマンが一番ちょうどいいと思うバッグだということ。
特に半日くらい出かける時や、散歩に行く時。とりあえず背負うバッグとしてベストな選択になると思う。
突然の雨にも強いし、カメラを保護する力も強い。ペットボトルを出先で買っても問題ないし、背負い心地も抜群にいい。
ラップトップを持ち運ぶこともできるから、カフェでガッツリ作業もできる(ちなみに、Clipaで吊るしても問題ないサイズ感だ)。
しっかりと使ってみた上で、「あー、こういうの欲しかったんだよね」と思った。これ以上の評価はない。
世の中のカメラマン、ブロガー、Youtuberたちが欲しかった最高にちょうどいいスリングバッグが、ROAM Slingだと思う。
現在はまだプレオーダーだが、持ち出すのにちょうどいいバッグを探している人にはぜひお薦めしたい。