今まで、フィルターを使用するのがあまり得意ではなかった。
NDフィルターやPLフィルターは所持していて、なんとなくその効果もわかっている。しかし、どうしてもフィルターを使用するということが自分の中に染み付いてはいない。
絶景に赴いて風景写真を撮る人には何枚も角形フィルターをつけて理想の一枚を撮影する人もいるが、僕が撮影するのは主に都内のストリートフォト。ストリートフォトでは角形フィルターなんてもってのほか、ほとんどの場所では三脚を立てることも憚られる。
そんな僕が「これはほしい、使ってみたい」と感じたフィルターが、ケンコートキナーさんの「ブラックミストNo.5」だ。
コントラストを下げて、シネマティックにほわっとした写真が撮れる。パキパキになりがちな僕の写真に新しい風が吹くかもしれないと思った。
今回は、レビューというよりもこのフィルターを使用した感想を書いていきたい。
ブラックミストNo.5について
このブラックミストNo.5というフィルターは、もともと存在していたブラックミストNo.1というフィルターの効果を半分に抑えたものだそう。いわゆるミストフィルターのより使いやすいバージョンだ。
ソフト効果が半分程度ということで、かなり使いやすいという声が多い。
ブラックミストという名前の由来は、黒い拡散剤を使用することでミスト効果で白っぽくなるという効果を抑えたため。
実際のモノ自体は全く黒さはない。しっかりとただのフィルターだ。
作例
今回は河津桜を撮りに行ってみた。ボディはα7RV、レンズはSIGMA 65mm F2だ。
実際に使ってみると、確かに使いやすさを感じる。いいのかはわからないが、フレアが出にくい環境下ではつけているのがわからない程度の効果だ。
若干つけるとフォーカスが甘くなるが、多くのボディ・レンズではクロップしない限り気にならないだろう。
しかし、一度逆光を撮ると印象が変わる。逆光でのフレアは通常以上オールドレンズ以下の絶妙なほわほわ感でかなり良い。
明るいレンズではボケとフレアが相まって幻想的な風景になる。
現代の光学性能とボケ、そして柔らかいフレアが合わさるのは確かにフィルターでしかみられない写真だ。
このフィルターを使用して思ったのは、サイバーパンクな光景にもよくあうということ。
駅の照明や電車のヘッドライトもしっかりとミスト効果が得られ、Lightroomで現像するのがとても楽しい。ふんわりとした夜景だけでなくネオン街でもぜひ撮り歩きたいと思った。
これでしか味わえない写真がある
僕はオールドレンズを手にして歩くことも多いが、このブラックミストNo.5はそれとは違う。
オールドレンズではあやふやすぎて、しっかりしたレンズでは鮮明すぎる。そんな絶妙なラインを撮る限られた方法の一つだろう。
このフィルターは劇的な効果を期待するものではないと思う。ほんの少しだけ、ノスタルジックで印象的に変える方法としてこれから使っていきたいと思う。